監修・小田眞幸教授インタビュー

ブリタニカ・ジャパンの幼児英語プログラムAngie & Tonyは、玉川大学文学部教授・言語学博士の小田眞幸(おだまさき)氏に監修していただいています。小田教授に、Angie & Tonyプログラムについて、そして幼児の英語教育について、お話をうかがいました。

img_6506

 小田 眞幸

 (おだまさき)

玉川大学文学部卒業後渡米、セントマイケルズ大学修士課程 (MA in TESL/TEFL),ジョージタウン大学博士課程(Ph.D. in Applied Linguistics)を修了後、同大学中国・日本語学科講師を経て、現在玉川大学文学部教授、ELFセンター(CELF)長。専門は言語政策・言語計画、マスメディア論、批判的ディスコース研究。
現在、JACET学術交流担当理事 AsiaTEFL副会長、AILA言語政策部会アドバイザー。

Angie&Tony開発秘話。園の一日・一年の活動を反映

ブリタニカ・ジャパンの英語プログラムAngie&Tonyの開発にあたっては、私もブリタニカ・ジャパンの人と一緒に玉川学園幼稚部に見学に行きました。朝の挨拶から降園まで丸一日、教室の隅で、「子ども達が何をしているのか」、「先生方とどんな会話をしているのか」など、園生活を観察したのです。その園生活を反映させ、園の中ですぐに使えるフレーズを取り入れたのがAngie&Tonyプログラムの教材です。年間のプログラムを組むにあたっては、園の一年間のカレンダーも研究しました。Angie&Tonyプログラムが、「園のイベントに対応していて使いやすい」と言われるのは、それだけ考えられているからなのです。開発までにあれだけ時間をかけ、ディスカッションを重ねて作られた教材は少ないと思います。

英語講師は”ネイティブ・スピーカー”にこだわらなくていい

今の子ども達が大人になり世界で活躍するには、英語を使うことは避けられません。大切なのは誰にでもわかる英語であること、どんなアクセントでも受け入れ理解できること。

よく、「本物の英語」という表現を聞きますが、「本物」とはなんでしょうね。現在、米、英のように英語を母語とする人、インドやシンガポールのように母語ではないが第二言語として英語を使う人、日本のようにが外国語として英語を学習している人がいますが、数でみれば、英語を使う人の80%がノンネイティブ・スピーカー、つまり、英語を母語としていない人々です。ですから、20%のネイティブ・スピーカーの発音に合わせることにこだわる必要はないのです。

本学では、世界で初めて、「英語講師の採用において、ネイティブ・スピーカーとノンネイティブ・スピーカーを区別しない」と明記しました。英語はあくまでもコミュニケーションの道具です。カラオケで機械の採点に合わせて100点を目指すように、ネイティブの発音をめざす必要はありません。それよりも、どんなアクセントの英語も理解できるように耳を鍛え、自分が必要な分野についてコミュニケーションや議論ができるような英語を習得したりする方が、よほど実用的なのです。エンジニアが使う英語、音楽をする人の英語、教師が使う英語はそれぞれ違いますから。

よく日本人が苦手と言われるRとLの発音ですが、日本語の「ら」でも、個人によって微妙に発音は違うのです。それでもコミュニケーションに支障はありません。RとLが明確に区別できなくても、文脈の中で理解される程度のことなので、過剰にこだわる必要もないと思っています。

幼稚園・保育園の先生は、子どものプロである

大学の英語の授業で、質問に対して生徒が黙り込んでしまうことがあります。このときに、言語のプロである優れた英語教師は2つの可能性を考えます。「英語がわからないので答えられなかった」という可能性と、「日本語であっても答えられない質問だった」という可能性です。自身が英語を第二言語として習得した経験がある先生にとっては、この2つの可能性を考えることは難しくありません。

一方、たとえ英語を母語とするネイティブ・スピーカーでも、言語教育のプロでなければ、「答えられない=英語がわからない」という可能性しか思いつかないかもしれません。

小さな子どもに英語を指導する場合も同じことがいえます。英語教師であっても、保育のプロではなければ、子どもが泣き出したり、答えられないときに、「英語がわからないから」と決めつけてしまうかもしれません。でも、普段から子どもと一緒に過ごし、一人ひとりの個性を把握している現場の先生(=子どものプロ)がみれば、恥ずかしいから泣いているのか、体調が悪いのか、家庭でなにかあったからなのか、ということがわかります。つまり、ネイティブ・スピーカーであっても、子どもを扱うことにおいては、園の先生にはかなわないわけです。ですから、園の先生方にはもっと自信を持っていただきたいと思います。「英語ができないから」と委縮される先生もいますが、Angie&Tonyプログラムの英語は、中学レベルの英語を復習すれば十分に子ども達と遊べるレベルなのですから。

img_6537

英語は点数をつけるものではなくコミュニケーション

日本人の英語力が低いといわれる原因はいくつかありますが、私は大きな理由は2つだと思っています。

第一に、英語を細分化して教えているから。英語4技能(聞く、話す、読む、書く)などと言いますが、テストの点数をつけやすくしただけですね。英語が、「英語」という教科になってしまって、コミュニケーションの手段であることが忘れられているのです。

日本語を習得するときは、まずは聞く、そして話す。書くのは後ですよね。英語でも同じなのです。アウトプットを急がないこと。その点もAngie&Tonyプログラムのシリーズ1では特に慎重に検討しました。歌は、多少難しい文法でも、インプットのために入れてあります。ただ、アウトプットにはこだわっていません。

第二に、英語が独立した教科になってしまって、生活との関連性を感じられないから。英語が特別な時間になってしまうと身構えてしまうので、「いかに何でもないときに自然に英語を聞くことができるか」がポイントです。その点、Angie&Tonyプログラムは毎日の園生活に密着した英語に親しむことができるので、優れていると思っています。

英語は早い時期から日本語と同時進行で

言語学習に関しては「ある学者がこう言っている」など、さまざまな説が飛び交っていますが、よく調べると言語の専門家ではなかったりします。情報に惑わされないことが大切です。

私の実感として、「言語を学ぶには、早ければ早い方がいい」という説は否定できません。「英語と日本語どちらを優先するべきか」という議論がありますが、私は同時進行で問題ないと思っています。2つの言語に同時に触れたからといって、日本語の能力が下がるという科学的根拠もありません。

絶対にやってはいけないのが、英語のために日本語を犠牲にすること。私は、「母語である日本語がしっかりできないと英語もできない」と思っていますので、日本語を捨てるという発想には反対です。小さいときに育んだ母語という資本は、他言語を学ぶ際の土台となってくれます。English onlyとか All or Nothingの発想ではなく、日本語を基盤に、少しずつ段階的に英語を増やしていくのが理想的ではないでしょうか。同時進行の場合、小さいうちは、発語に日英が混ざることもありますが、そのうち自然に使いわけができるようになります。

保育の中に英語を取り入れることは、引き算ではなく、足し算の教育だと思って下さい。しっかりした日本語に英語を足す、ということです。幼少期に、「日本語ではない言語があること=言語の多様性」に気づくことは大切です。母語以外の言語を学んだ経験があると、将来第3の言語を学ぶ際に、その学習経験が活かされるはずです。

img_6535

家庭でも、小さな積み重ねで英語に親しみを

「英語に親しむこと=英会話学校に通うこと」と思われる方もいますが、家庭でも、英語に興味をもたせてあげることはできます。日本語ではない言語の存在を気づかせるのが第一段階。たとえば、「看板に”Number One”って書いてあるね、英語で『1番』のことだね」のように。第二段階は、日常使っている言葉を英語に置き換えること。たとえば、数字を英語で数えてみるとかですね。子どもに指示する言葉をいくつか親が英語で覚えて使うといいと思います。

もちろん英語のDVDも効果的です。「ジェスチャーや踊りなどのアクション=ノンバーバル・コミュニケーション」が入っていると、子どもの理解は深まります。

Angie&Tonyプログラムでは、保育の先生がDVDの中のフレーズを園の生活で使っています(例えば、手を洗うときにDVDの”Fully Clean”を歌うなど)。同様に、ご家庭で英語を取り入れる場合も、DVDのフレーズを親が生活の中で使うと、より英語を浸透させてあげることができます。

先生方の「協働」で特技を活かし苦手を補完

日本の教育は、「一人でやりなさい」というのが基本姿勢です。英語教育もそう。でも、コミュニケーションである英語を「一人で勉強しなさい」っておかしいですよね。それぞれ、得手不得手があります。協働(collaborative learning)というのは、自分が得意なことを差し出し、苦手なことを得意な人に補完してもらうこと。子どもや学生だけでなく、園の先生方も同じで、パーフェクトな先生はいません。Angie&Tonyプログラムのシリーズ2と3は、先生が協働(チーム)で力を発揮していただけるようになっています。歌が得意な先生は歌い、スポーツが得意な先生には英語で号令をかけ、絵が得意な先生は絵を描きながら、英語を楽しむことができます。すべてのことが完璧でないといけないと思うから自信がなくなるのです。協働で得意なことを活かすチームができれば、1+1+1=5ぐらいの力を発揮できると思います。

自信といえば、Angie&Tonyプログラムには、シリーズ2と3に先生のためのCAN-DOリストがついています。これを、できないことに着目して自信を失くしてしまうCan’t-DO リストにしないようにしていただきたいですね。そもそも、CAN-DOリストは、「前はできなかったことができた」という自己肯定感につなげたり、弱点を知って学習に役立てたりするためのものです。ぜひ先生方には、ご自分の自信につなげるような使い方をしていただきたいと思います。

 

お問い合せはこちら

トライアルのお申し込みや質問・気になることなどございましたら、お気軽にご連絡ください!


お電話でのお問い合せもお気軽にどうぞ!
Cro

ブリタニカ・ジャパン株式会社
〒141-0031
東京都品川区西五反田 8-3-16
西五反田8丁目ビル2F

お気軽にお電話下さい!電話03-5436-2712